~第6回「企業チームとクラブチーム」~
前回までは、社会人野球の二大大会について書いてきましたが、今日は社会人野球のチームの種類について書いてみたいと思います。
社会人野球には大きく分けて「企業チーム」と「クラブチーム」があります。
「企業チーム」は文字通り、会社の野球部です。
基本的に、同じ会社に勤める人間で構成され、そのほとんどは会社の社名をチーム名として活動しています。
去年の12月時点で全国に363ある社会人野球チームのうち、90チームが「企業チーム」です。
平成15年位までは休廃部が相次ぎチーム数は減少の一途でしたが、ここ10年は90チーム位で推移しています。
専用球場を持つなど恵まれた環境にあり、「都市対抗野球」に出場するような強豪チームはほとんど「企業チーム」です。
因みに、昨年の「都市対抗野球」の本戦出場32チーム中31チームは「企業チーム」でした。九州では、JR九州、九州三菱自動車、Honda熊本、三菱重工長崎、沖縄電力などがあります。
もともと、「鉄道」「製鉄」「炭鉱」「自動車」など日本の産業構造の中で育ってきた社会人野球ですが、運営自体もこういった大企業の支援で成り立っている側面は大きく、是非論は別にして「社会人野球」=「企業野球」ということが言えると思います。
また、「企業チーム」には全国で11チームと少数ではありますが、専門学校の野球部も含まれます。
年齢的には大学の1、2年生に相当することが多いですが、社会人野球というくくりの中で活動しています。
そして、もうひとつが僕らDWも分類される「クラブチーム」です。
選手それぞれが仕事を持ちながら、同好会的に活動していることがほとんどです。
同じく去年12月時点で全国に273チームと、「企業チーム」の減少に反比例して増加してきました。
特に、欽ちゃん率いる「茨城ゴールデンゴールズ」が発足してからはタレントチームが次々に作られ、クラブ野球ブームとなりました。
こういったブームもあり、「新しい」印象がありますが、実は歴史は古く、日本で最初の社会人野球チームは、明治時代に作られた「新橋アスレチックス」というクラブチームだったと言われています。
また、現存するクラブチームでは北海道の「函館太平洋倶楽部」が100年以上の歴史を持ち、最も古いクラブチームとなっています。
ただ、こういった歴史あるチームはごく一部で、多くは長く存続することができず、廃部となっていっています。
「クラブチーム」は財政的にも脆弱で、球場確保や部員確保など運営面も厳しく、「強化」以前に「活動」の継続が簡単ではない現状があります。
「企業チーム」と「クラブチーム」。
日本の社会人野球は、大企業の大きな支援のもとで育ってきましたし、今もその支援なくしては存在し得ません。
でも、地域スポーツという側面では「クラブチーム」が独立独歩し、「技術向上」「競技普及」「地域貢献」を同時に成立させることに寄与できるようになって初めてアマチュア球界の健全な発展に繋がるのではないかと思っています。